ワイシャツなどの白い衣類は、クリーニングに出しても黄ばみが落ちないことがありますよね。
衣類の黄ばみは放置しておくと、どんどん広がり黒ずんでいきます。首元や袖口から見える黄ばみは、相手に与える印象もよくありませんよね。
また黄ばみは時間とともにさらに落ちにくくなり、虫食いの要因にもなります。
見た目だけではなく、衣類にとってもデメリットでしかない黄ばみ。
この記事では、黄ばみの原因やクリーニングでは落ちない理由、家庭の洗濯で黄ばみを落とす方法などについてお伝えします。
しまっておいた服はなぜ黄ばむ?原因は皮脂と汗
汗の成分と皮脂の成分で服は黄ばむ
黄ばみの要因は食べこぼしなど衣類の外で付く汚れを除き、カラダの中から出る汚れが原因で起こります。
カラダの中から出る汚れで、衣類を黄ばませる主な要因となっているのが汗と皮脂。
ココがポイント
汗の中に含まれるタンパク質や皮脂から出る脂肪系の油は、空気に触れて酸化すると黄ばみへと変化します。
タンパク質や脂肪系の油の酸化で黄ばむのは衣類だけではありません、
シーツや枕カバー、下着類や靴下が黄ばんでいくのも、タンパク質や脂肪系の油が酸化した結果だとわかれば、納得できる方もいるのではないでしょうか。
黄ばみの原因を知るには「汗による要因」「皮脂による要因」を分けて考えることが大切です。
汗に含まれるタンパク質が原因の黄ばみ
血液が流れる管には、動脈と静脈の2種類の血管がありますよね。
実は汗の出る腺にも、エクリン腺とアポクリン腺という2種類の汗腺があります。どちらの汗腺から出る汗も主成分は水分です。
しかし、エクリン腺とアポクリン腺から出る汗の成分は異なります。
エクリン腺からは食塩が含まれた汗が出ます。汗が乾いたときに白いシミが残るのは、汗の水分に食塩が多く含まれているためです。
ただ食塩は水に溶けやすいので、白いシミは普通の洗濯で落ち、黄ばみの原因にもなりません。
いっぽうアポクリン腺から出る汗の成分には「タンパク質」が含まれています。そのため空気中の酸素を取り込むと、酸化されて黄ばんでいきます。
例えば、パーカーやセーターなどの白い衣類では、首回りだけではなく、全体が黄ばんだ経験をされた方もいると思います。
地肌に触れない部分であっても黄ばんでいくのは、コットンやウールなどの動物繊維の主成分がタンパク質だからです。
シルク・カシミア・アルパカ・アンゴラなど、獣系の高級繊維の成分にもタンパク質が含まれています。
獣系の高級繊維は肌触りや着心地が良い反面、洗濯やクリーニングなどのアフターケアも手が抜けないことがわかりますね。
皮脂から出る脂肪系の油が原因の黄ばみ
皮脂汚れは食べこぼしなどと同じく、油汚れに分類されます。
ただ同じ油汚れでも、食べこぼしによる油と皮脂から出る脂肪系の油では、認識できる程度が全く異なりますよね。
食べこぼしの油汚れは見た目もわかりやすいため、きれいにするための行動も起こしやすくなります。
例えば、食べこぼしの油汚れをきれいに落とそうと思えば、洗濯時に水ではなくお湯を使ったり、中性洗剤ではなくアルカリ性洗剤で対応することもできます。
ココがポイント
しかし、皮脂から出る脂肪系の油汚れは、汗に含まれるタンパク質の汚れと同じく、見た目で認識することが難しいですよね。
そのため皮脂汚れに気づかないまま、普通に洗濯機に放り込んで、グルグル回して干すだけのケースも多いと思います。
皮脂から出る脂肪系の油汚れは、そうやってじわじわと蓄積していきます。
特にワイシャツ・Tシャツ・ポロシャツなど、肌に密着する衣類は、皮脂から出る脂肪系の油が繊維の奥まで浸透しやすい性質があります。
蓄積した皮脂汚れは漂白剤を有効活用しても、100パーセントきれいに落とすのが難しいことがほとんどです。
湿度や温度が高いとき、通気性の悪い服を着ているときなどは、蓄積した皮脂汚れが黄ばみに変化しやすくなります。
黄ばみやすい条件が重なると、着衣期間が短くても黄ばんでしまうこともあります。
皮脂から出る脂肪系の油から黄ばみを防ぐには、日頃の洗濯から油汚れに強い弱アルカリ性の洗剤を使うのがおすすめです。
ただしシルク・カシミア・アルパカ・アンゴラなど、獣系の高級繊維を弱アルカリ性の洗剤を使って洗うと、素材を傷めて着られなくなる可能性もあります。
洗濯リスクを感じる油汚れに関しては、クリーニングでプロに頼るのが最適です。
クリーニングで服の黄ばみが落ちない理由とは
ドライクリーニングで落とせるのは皮脂の黄ばみだけ
クリーニングにはドライクリーニングと水洗いクリーニング、2つの洗浄方法があります。
一般的にクリーニングと呼ばれるのはドライクリーニングのほうで、油汚れを落とすのに適した洗浄方法です。
黄ばみを落とすという観点で言えば、ドライクリーニングは皮脂から出る脂肪系の油を落とすのが得意です。
石油系の有機溶剤が生地の表面についた油汚れの分子をバラバラに溶かして、皮脂から出る脂肪系の油を落とします。
ただしドライクリーニングで落ちるのは、皮脂汚れが原因の黄ばみだけ。汗が原因の黄ばみを落とすことができません。
水洗いクリーニングを併用して汗の黄ばみを落とそう
ドライクリーニングでは落とせない汗汚れが原因の黄ばみは、水洗いクリーニングを併用して注文するといいでしょう。
併用というのは、多くのクリーニング店では、水洗いクリーニングはオプションメニューのところがほとんどだからです。
水洗いクリーニングはウエットクリーニングと呼ばれることもあり、2つの洗い方を同時におこなうという意味で、「ダブルウォッシュ」としてクリーニングメニューになっているケースもあります。
いずれにしても水洗いクリーニングは、ドライクリーニングをやったあとにおこなわれる洗浄方法。
プロ仕様の「水」「洗剤」「漂白剤」が生地の奥まで浸透するので、汗汚れの黄ばみをきれいに落とすことができますよ。
ココがポイント
クリーニングに出しても黄ばみが落ちなかった原因は、水洗いクリーニングを併用しなかったことが考えられます。
クリーニングでお気に入りの衣類の黄ばみを落とすなら、水洗いクリーニングを併用してみてはいかがでしょうか。
クリーニングで黄ばみを落とすにはドライ+水洗い
今までドライクリーニングしかやってこなかった方は、黄ばみが気になる衣類だけでも、水洗いクリーニングを採り入れてみるといいでしょう。
1度に2回クリーニングをおこなうことになるので、仕上がりに時間がかかるのと、料金が高くなります。
とはいえ、仕上がりに関しては、2日で仕上がるところが5日かかる程度。料金に関しては高くなっても1,000円くらいです。
ただ1度に2回クリーニングをおこなうとなると、デリケート素材へのダメージが心配になりますよね。
しかし、宅配クリーニングのリネットには、ドライと水洗いのいいとこ取りの「ディープクレンジング」という洗浄方法があり、2回のクリーニングが1回で終わります。
皮脂などの油汚れに加えて、汗汚れも一度にまとめて落とせるので、デリケート素材の黄ばみも落ちやすく、よりさっぱりと清潔に仕上がります。
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服の黄ばみを洗濯で落とす方法
黄ばみを効果的に安全に落とす漂白剤は酸素系漂白剤
何度も洗濯しているのに、衣類の黄ばみが取れなくなるといった現象に悩まされるケースが、どうしても発生します。
洋服の繊維の奥に入り込んだ、皮脂や汗が酸化するのが黄ばみの主な原因です。
衣類の黄ばみを効率よく取り除くには、酸素系漂白剤を使用して洗濯するのが基本となります。
皮脂や汗の酸化により発生した黄ばみには、重曹及び石鹸と同じ弱アルカリ性の洗剤が効果的だからです。
衣類の黄ばみ除去だけでなく、シミや生乾き等で生じた臭い取りにも、酸素系漂白剤が役立ちます。
酸素系漂白剤には粉末と液体がある
酸素系漂白剤には、粉末及び液体の2種類が存在します。いずれもスーパーやドラッグストア等で購入できますよ。
粉末タイプの酸素系漂白剤には過炭酸ナトリウムが該当しますが、台所洗剤や水を一緒に混ぜて、スチームアイロンで行う方法が基本です。
いっぽう液体タイプの酸素系漂白剤は、台所用の漂白剤と衣料用の漂白剤に分類されます。
衣類についた黄ばみを取り除く場合は、衣料用漂白剤が用いられますが、アイロンのスチームまたは、50度程度のお湯につけ置く方法が一般的です。
ココに注意
なお衣類の黄ばみを落とす目的で塩素系漂白剤を使うのは、洋服の色素を白くするといった色落ちを引き起こすため、使用そのものが厳禁です。
襟・脇・袖など部分的な黄ばみを落とす方法
もし、襟や袖に部分的な黄ばみや濃い黄ばみがついてしまった場合は、粉末タイプの酸素系漂白剤を使用します。
40℃から60℃のぬるま湯を、洗面器もしくはバケツに汲み、同量の酸素系漂白剤と食器用洗剤を一緒に入れ、ペースト状にします。
使い古した歯ブラシで、ペースト状になった洗剤を黄ばんだ部分につけ、こすりながら塗り込むように洗っていくのが基本です。
その後、水を入れたアイロンを使って、黄ばみの部分にスチームを当てていくと、次第に黄ばみが落ちていきます。
アイロンによる作業が終わったら、洗剤の泡がなくなるまで、手洗いで黄ばみを落としていきます。
衣類全体の黄ばみを落とす方法
衣類全体に黄ばみが広がってしまったケースでは、長時間のつけ置きで対処するのが原則です。
40℃から60℃のぬるま湯を洗面器及びバケツに汲むのは、部分的な黄ばみ除去と同じですが、液体タイプの酸素系漂白剤を使う点で、大きく異なります。
ぬるま湯を混ぜて洗浄液を作った後、黄ばみがついてしまった洋服をそのまま洗面器に入れます。
洗浄液を含んだ洗面器のお湯が冷めたら、洋服を取り出し、そのまま洗濯機に入れて通常通りに洗濯をすれば、黄ばみ取りの作業は完了です。
酸素系漂白剤を使った黄ばみ落としをする際には、洗面器等に入れるお湯の温度に注意する必要があります。水とお湯を半分くらいにする形で、60℃を超えない程度に温度を調整していくのが基本です。
仮に、65℃以上の熱湯で黄ばみ落としを行うと、素材そのものを痛めるリスクや、やけどを負う危険性が出てくるので、60℃以下に保つのが重要です。
また、手洗いによる黄ばみ落としを行う場合は、掃除用の手袋を用意すると、手荒れややけどの心配をせずに安全に作業できます。
ココがポイント
黄ばみ落としを目的として酸素系漂白剤を使用する場合、商品に記載されている容量を守るのが基本です。
また、酸素系漂白剤の性質上、短時間で黄ばみが落とせるわけではないので、つけ置きの時間は、1時間から6時間程度が目安となります。
ファスナーやボタンといった、金属類には使用できないほか、素材や染色方法によっては色落ちが起こる可能性もあります。
一度、目立たない部分につけて、5分程度経過しても色落ちが起こらないかを確認した方が良いでしょう。
重曹・セスキ・食器用洗剤で黄ばみは落とす方法
衣類についた黄ばみに関しては、酸素系漂白剤のほか、重曹やセスキ、食器用洗剤でも効率よく落とせます。
例えば、白の綿素材についた黄ばみを落とすには、臭い取りに用いられる重曹が活躍するといった具合です。
白の綿素材についた黄ばみ落としには、65℃以上の煮洗いが最も効果的な方法と言えます。3Lの水を入れたステンレス鍋に、大さじ2から3杯程度の重曹を投入、洋服を投入して弱火で10から20分程度煮詰めます。
仮に黄ばみが落ちなくても、20分程度で火を止め、お湯が冷めるまでつけ置きをするのが大原則です。
部分的な黄ばみ落としの際に食器用洗剤を使う場合、粉末タイプの酸素系漂白剤と一緒に使うのが一般的と言えます。
しかし、綿生地のワイシャツ等についた黄ばみを落とすケースでは、食器用洗剤単独でもその役割を果たせる点が大きなポイントです。
最初に食器用洗剤1に対して水4程度の割合で希釈液を作り、シャツにかけた上でもみ洗いを行います。
そして、希釈液を浸透させたシャツを、60℃程度のお湯の中に1時間程度浸し、通常通り洗濯をするだけで黄ばみ落としの完了です。
セスキと炭酸ソーダを併用した方法でも、洋服についた黄ばみを簡単に落とせます。
水と混ぜたスプレーを活用した、アルカリウォッシュと呼ばれる方法で、黄ばみだけでなく、頑固なたんぱくによる汚れ落としにも役立ちます。
黄ばみが目立つところにスプレーをかけて30分程度放置、軽く揉んだ後でいつもどおりの洗濯をするだけで、黄ばみ落としは完了です。
衣類の黄ばみについてのまとめ
さいごに衣類が黄ばむ原因やクリーニングで落ちなかった理由、黄ばみの落とし方についてまとめておきます。
衣類が黄ばむおもな原因
- 皮脂から出る脂肪系の油
- 汗に含まれるタンパク質
クリーニングで黄ばみが落ちなかったのは、ドライクリーニングで皮脂から出る脂肪系の油しか落とせてなかったことが考えられます。
汗に含まれるタンパク質が原因の黄ばみを落とすには、水洗いクリーニングも併用するのがベスト。
ドライクリーニングと水洗いクリーニングの2度洗いで、黄ばみがよりきれいに落ちます。
自宅の洗濯で黄ばみをきれいにするには、酸素系漂白剤を使って「つけ置き」洗いするのがおすすめです。
重曹・セスキ・食器用洗剤も併用すると、より効果的に黄ばみを落とすことができます。
黄ばんだ衣類がきれいになると、袖を通したときの気分もアゲアゲになりますよね。